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こころのリスク外来
近年、10代?20代(ユース世代)の思春期?青年期において生じる、様々なこころの疾患に発展するリスクが高い状態(こころのリスク状態)に注目が集まっています。当外来では、こころのリスク状態を早期に発見し適切な治療を行っていくための専門外来を開設しております。(足球比分网6年4月より診療開始)診療内容と特色
10代?20代(ユース世代)の思春期?青年期は、身体の変化と同時にこころも変化する時期です。また、この時期には、自分自身のことや人間関係の悩み、いじめや不登校など思春期の心性や自我の発達過程で多くの困難にぶつかることがあります。こころに変化が生じる思春期の繊細な時期にこうした問題に遭遇すると、こころのバランスが崩れてこころの病気になってしまうリスクが高まることもあります。統合失調症やうつ病などこころの病気になる危険性が高まっている状態を“こころのリスク状態”と言います。こころのリスク状態では、様々な症状が出現し、症状による苦痛や困惑を感じることに加え、これまで出来ていた日常生活や学校生活における様々なことが出来なくなってしまうことがあります。こうしたこころのリスク状態を早期に発見して適切な治療を開始していくことが、のちの統合失調症やうつ病の発生予防につながるほか、出来なくなってしまった生活における様々な機能を回復させる可能性があるため、早期発見?早期治療が非常に重要となります。
ただし、こころのリスク状態で見られる症状には様々なパターンがあり、漠然として捉えどころがないため、なかなか言葉にして人に相談出来なかったり、自分がこころのリスク状態に該当するのかよく分からなかったりすることも多いかと思います。自分の症状について、以下の「こころのチェックシート(本人用)」で確認してみましょう。
『こころのチェックシート(本人用)』
また、保護者の方も、お子様が以前とは違い元気がなく口数が減っていたり明確な理由なく学校へ行けなくなったりしているような場合には、以下の「お子様の変化チェックシート(保護者用)」をご確認ください。
『お子様の変化チェックシート(保護者用)』
チェックリストをご確認いただき、上記チェックリストの項目に、ご自分の症状やお子様の変化が一部でも当てはまる場合には、是非お早めにご相談ください。
当外来では、思春期?青年期のこころのリスク状態を抱えている方を支援するために、時間をかけてこころのリスク状態の診断?評価を行い、薬物療法、心理カウンセリング、本人やご家族への教育的指導などを組み合わせた治療を行ってまいります。また、当院で実施している思春期?青年期の方を対象とした作業療法もご案内させて頂けます。病状によっては、当院での入院加療についても相談することができます(一般精神科病棟での入院になります)。
対象
思春期?青年期の患者さまの中で、上記チェックリストの項目に症状が当てはまる方対象年齢:12歳(中学生)~25歳
※既にかかりつけのある方は紹介状を持参してください。
※可能であればご家族もしくは支援者の方の同伴をお願いします。
※判断に迷うケースはまずお電話にてご相談ください。
※一般の精神科病棟で対応できる場合は入院加療も可能ですので、外来担当医にご相談ください。
診察?予約について
まずは初診の受診をお願いいたします。初診日
毎週月曜日(10:00~、11:30~)※祝日?創立記念日(11月15日)?年末年始(12月29日~1月3日)は休診となります。
医療関係者の方へ
近年、10代?20代のユース世代(若者世代)において生じる、後に精神病症状を伴う精神疾患に発展するリスクが高い状態(at risk mental sate:ARMS)に注目が集まっています。操作的な判断基準である ultra high risk(UHR)基準によって診断され、閾値下の弱い精神病症状が持続する減弱精神病症候群(Attenuated Psychosis Syndrome:APS)、一過性で自然軽快する精神病症状を認める短期間欠型精神病症状(Brief Intermittent Psychotic Symptoms:BLIPS)、遺伝的素因と機能低下群(本人がスキゾタイパルパーソナリティ障害または第一度親族に精神病性障害の者が存在、かつ過去1年間に重大な機能低下)のいずれかを示す場 合にARMSとされます。ARMSの精神病への移行率は、1年で22%、3年で32%と言われており、非移行例でも、長期に渡って生活機能の低下を示すことが報告されています。これまで統合失調症などの精神病に対する治療においては、精神病症状が顕在化してから薬物療法などの治療介入が行われるまでの期間である「精神病未治療期間(duration of untreated psychosis)」をいかに短縮出来るかが治療の成否を分ける重要な要因として考えられてきました。近年は、発症してからの早期治療だけでなく発症予防の観点から、DUPに前駆期が加わった疾病未治療期間(duration of untreated illness:DUI)が重視されています。また、ARMSの段階での適切な治療と長期予後の改善に関する議論もみられ始めています。このため、ARMSに対する早期診断および早期治療介入が必要ですが、症状の出方が微弱でなかなか同定することが困難であるのに加え、うつ病や不安障害など他の精神疾患が併存するケースも少なくないため、併存症の症状によってARMSの症状が修飾され、より診断がつけ辛くなる傾向があります。ARMSの診断については、代表的なものとして北米で開発された構造化面接法であるSIPS/SOPS(Structured Interview for Prodromal Symptoms/Scale of Prodromal Symptoms)が用いられています。
当外来ではARMSが疑われる患者様について、SIPS/SOPSによる診断やWISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)?WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)などの心理検査を実施させて頂けるほか、心理カウンセリングも導入しています。また、当院では入院設備も有しているため、入院治療を行うことも可能です。ARMSが疑われる患者様につきまして、当外来への積極的なご紹介をお待ち申し上げます。